TOP > インタビュー・対談 > デザインへの見方が変わる!?トツカケイスケさんに「フリーランスのデザイナー」について聞いてきた!
すず
みなさん、こんにちは!JobTierのライター すずです!
みなさんはデザイナーやイラストレーターってどんな仕事だと思いますか?
とにかくカッコイイものやカワイイ見た目をつくる仕事のこと?
なんとなく、一般人には分からない、芸術センスを持った方がやられる仕事なんだろうな・・と思いませんか?
すず
これは全て私が思っていることです・・(笑)
今回は企業価値を高めるデザインの考え方やイラストの仕事について、今後求められるスキルなどを、フリーランスで活躍されているトツカケイスケさんにお聞きしました!!
トツカさんは今年でフリーランス17年目で、様々な媒体のデザインを手がけている他、タイプの違うイラストを描き分けているのが特徴です。
大手企業の案件も多く、国内外の展示、個展の開催もされたことのある方!
トツカさんからお話を聞き、私の考えはガラッと変わりました・・!
すず
この業界を目指す方はもちろん、それ以外の多くの方に知っていただきたいことが満載です!
このページの目次
すず
トツカさん、本日はよろしくお願いします!
トツカさん
よろしくお願いします!
zoonでインタビューさせていただきました!(取材日:7月29日)
すず
まずはトツカさんのご経歴についてお伺いしたいのですが、トツカさんは元々IT企業に勤められていたんですか?
トツカさん
はい。3ヶ月で辞めちゃいましたけど(笑)
トツカさん:元々絵を描くことは好きだったのですが、高校時代に数学と英語が得意で、大学も理工学部に入った流れでIT系の会社に入社しました。
でも入ってみたら・・なんか色々アレで(ご想像にお任せします)自分には合わないと思って2ヶ月目で辞表を出しました。
それだけ聞くと「根性の無い奴」と思われそうですが、早々に辞めたからこそ今の僕があるので、英断だったと思っています。 当時の僕に金一封差し上げたいほどです。
ま、どのみち自分のお金ですけど。
すず
色々アレだったんですね(笑)
トツカさん
はい。色々アレでした(笑)
すず
ではイラストやデザインの勉強はどのようにしていたんですか?
トツカさん
短期の専門学校でツールの使い方、制作会社でデザインを学びました。
トツカさん:学校では、AdobeのIllustratorやPhotoshopなど、主にデザインやデジタルイラストに必要なツールの使い方を学びました。
デザインの勉強については、その後入社した制作会社でアートディレクターの上司に師事して、デザインに大切な基礎や考え方などその後の幹になることを学びました。
イラストは完全独学で、教本を見たりとかもせず、とにかく描きながらステキな作家さんの作品を見たり研究しているうちに上達していったという感じです。
デザインもそうですが、良いものを見て目を肥やすことで、自分に足りないものが見えてくるってのはありますね。
すず
イラストは独学なんですね・・!
フリーランスになったキッカケはなんでしょうか?
トツカさん
制作会社で2年半ほど経った頃、仕事の幅を広げたくて転職活動を始めたタイミングで、イラストのコンテストで大きな賞金を頂いたんです。
そこで人生経験として数ヶ月だけフリーランスをやってみようと軽い気持ちで始めたのがキッカケです。
今思えば何の準備もせずフリーランスは無謀でしたね(笑)
トツカさん
今回インタビューを受けるに当たって、ぜひ発信したいことがあるんです。
すず
発信したいこと!なんでしょうか?
トツカさん
一般企業の経営にもぜひデザインの力を取り入れて欲しいんです。
トツカさん:経済産業省が2018年の宣言した『デザイン経営』という言葉があります。
詳しく説明するとボリューム的に連載記事になりそうなので省きますが、ザックリ言ってしまうと、デザイナーの考え方を経営に活かそうということです。
欧米はもちろん、日本でも多くの大企業がすでにこの『デザイン経営』を導入して大きく成長したデータがあって、ググって見ると色々出て来るので興味深いですよ。
すず
『デザイン』って聞くと、カッコイイもの・カワイイもの・オシャレなものを作る仕事というイメージがありますが、経営とどう関係があるんでしょうか?
かっこいいパンフレットやWEBサイトを作るということですか?
トツカさん
いえ、もちろん表層美を作るのも仕事なのですが、僕は根本として「見せ方や伝え方を考える仕事」だと思っています。
トツカさん:デザイナーは日頃から色んな業態の課題解決をしてることが多いので、俯瞰してその企業を見ることが出来るし、見せ方・考え方の手法も沢山知ってるんです。
特にVUCA(予測困難な時代)と言われる中で、過去の経験値や敏感なアンテナでキャッチした勘所はもちろん、発想力を持ってるという意味でもデザイナーの考え方を経営にも活かそうという事です。
そのためには見た目がいい表層美だけではなく、情報を整理して無駄を省いた機能美も大事になってきます。
もちろん、デザイナーも経営視点になれないと実現しないので、デザインの仕事とは直接関係なくても社会に関心を持つことも必要です。
経営層の人たちとリアルでコミュニケーション取り合ったり、ビジネス書を読んだりして、経営層のマインドを知ったり共通認識を持つことも大事だと思ってます。
ちなみに、デザインは見た目だけじゃないっていう例として、『design』を辞書でひくと「設計する」「計画する」「立案する」「企てる」って和訳が出て来るんですよ。
すず
「見せ方・伝え方を考える」・・なるほど、見た目を良くするだけの仕事じゃなく、考え方やプロセスから『デザイン』なんですね!
トツカさん
見せ方・伝え方の話は、寓話の『北風と太陽』をよく例に出します。
トツカさん:あるサービスや商品を買わせるために価値を過度に誇張したり、危機感を煽ったり、ECサイトとかでブランド感を壊してまで「購入する」ボタンをドデカく派手にしたり・・。
そういう力技は北風のやり方で美しくないし、考える方向を逆走してる気がしてます。
サービスや商品の魅力をしっかり理解して、然るべき見せ方と然るべき伝え方をすれば、それを必要と感じたお客さんは自ら選ぶと思うんです。
それが北風に対して太陽の美しいやり方だと思って理想にしてます。
すず
考え方を聞いて、デザインへのイメージが変わりました。
トツカさんは、フリーランスのデザイナー・イラストレーターはどのようなスキルが必要だと考えていますか?
トツカさん
僕は独自性だと思っています。 1つは、マルチなスキルの掛け算、もう一つは特化したジャンルがある事。
トツカさん:マルチなスキルって、ひと昔前は「器用貧乏」として二流や三流の代名詞みたいになってましたが、今は特にフリーランスだとマルチの掛け算が価値になってると思います。
僕の例だと、イラストを依頼されたときにデザイナーがどんな意図でイラストを使いたいのかが解るので戻しが少ないですし、使われるシーンに合った構図や配色を意識するので喜ばれます。
他には、大学時代に情報科学科だったのもあって、IT系のお客さんには「理解が早い」と言ってもらえます。
IT(データ)や流行のビジネス用語を4コマで学べる連載もしていて、「解りやすい」と評判なんですよ。スマートニュースにもよくピックアップされてます。
すず
すごい!ご自身で全て作成されているんですか?
トツカさん
毎回テーマをもらったあと、それについて自分で調べてコンパクトにまとめています。
僕自身とても勉強にもなってますし、別の仕事に役立つこともありますよ。ちなみに、絵は意図的に下手っぽく描いてます(笑)
トツカさん:あともう1つ、何かに特化してるフリーランスは強いですよね。
僕の知り合いで、スポーツに特化して色んな競技の選手の似顔絵を描いて活躍しているスポーツイラストレーターさんがいますし、ガーリーなデザインに特化してそれだけやってるデザイナーさんもいます。
他の職種だと、ちょくちょく改定のある薬事法に詳しいライターさんも重宝されるようですね。
何かに特化していると「そのジャンルといえばこの人」と言った感じで思い浮かびやすいですし、その道を日々研究したりして突き詰めてるので、発注側すら気付かないところも提案出来ます。
そうすると質の高いアウトプットになることが多いんです。
すず
デザイナーさんは世の中にたくさんいらっしゃいますが、その中でもトツカさんはすごく活躍されている印象です!
トツカさんが他のデザイナーと違う部分はなんでしょうか?
トツカさん
自分なりに大きく分けると2つあって、1つは経営目線でデザインを提案していることだと思います。
トツカさん:最近は企業の経営者や経営層の方と直接やり取りさせて頂く仕事が増えました。
先程話したデザイン経営とも重なるのですが、お客様が気付いていない部分を言語化・視覚化して、一緒に『見せ方・伝え方』を考えていきます。
打合せの時なども、単なるヒアリングではなく「セッション」や「コーチング」と言って頂くこともあって。
デザイナーとしては、自分の提供価値を理解された気持ちになりますし、そこから信頼関係が出来上がったりするので嬉しいです。
すず
経営者目線で・・ライターをしている私にも刺さります。
トツカさん
もう1つは、ディレクション・WEB・紙媒体・ロゴ・キャラクター・動画・イラストと幅広く対応していることだと思います。
同業種ではあるのですが、これも先程話した『得意の掛け算』です。
トツカさん:一貫して監修できるので、ブランディングの視点でも重宝されています。
企業がツール毎に別々のデザイナーに発注をしていると大事なVI(ビジュアル・アイデンティティ)がブレたりしますし、各発注先に自社のアイデンティティを伝える為の労務費もかかりますしね。
すず
確かに企業のブランディングがブレると企業価値にも関わってきてしまいますし、大事なところですね。
トツカさん
あとは、ケースバイケースで必要なクリエイティブを提案出来ることも強みです。
トツカさん:極端な例えですが、「LPを作りたい」とWEB系の依頼が来たとするじゃないですか。
でも話を聞いてみたら、WEBではなく紙媒体のポスティングのようなアナログ手法が効果的だった場合、その提案と対応も出来たりします。
こういった、お客さん側の手法の知識が少ないことによる機会損失って少なくないんです。
他にも一貫してご依頼を頂く関係性だと、案件を請けてないときでも自然とそのお客さんの事を考えたりするので、ふと思い付いたことや目にしたものから着想を得て「次これ提案してみよう!」となり、喜ばれます。
すず
案件が終わってからも自分の会社のことを考えてくれてるのは嬉しいですし、信頼出来ます!
他の人にも紹介したくなりますね!
すず
トツカさんはご紹介から始まるお仕事が多いとお伺いしたのですが、営業はされないんですか?
トツカさん
持ち込み営業は傾向的にパワーバランスが悪いので、ほぼしていないんです。
トツカさん:自分から「お仕事下さい」よりは、相手から「お仕事をお願いしたい」の方が、前提として僕の作るものを評価してくれてるので、横柄な対応や無理難題を押しつけられることもありませんので。
昔から同業よりも他業種の人たちと遊ぶ事が多かったのと、年齢層が高めの社交場に行ったりしてたので、周りにも経営層の人が多いというのもあります。
「類は友を呼ぶ」って言いますけど、ステキな方ってこれまたステキな方をご紹介して下さるので、トラブル無くお互いを尊重しながらご一緒できるのが有り難いです。
すず
偶然的なキッカケでお仕事になることもあるんですよね?
トツカさん
はい。むしろそんなのばっかりです(笑)
トツカさん:若いときに淡い期待で行ったBBQや、めったに行かないフリマで知り合った人とは、今でもビジネスパートナーとして長いお付き合いをしています。
他にも行く前の意図とは裏腹な出会いが仕事に結びついてる事が沢山あって、人との繋がりってホント不思議だなぁと思います。
すず
利害関係では無いところから始まるので、お互い人柄を重視して繋がってるのでお仕事でも良縁になるのかもしれないですね。
すず
最後に、トツカさんがフリーランスのデザイナー・イラストレーターとして大事だと思うことはなんですか?
トツカさん
これも沢山ありすぎて連載ものになりそうなので、ベタっぽくないのを選ぶと『疑うこと』です。
トツカさん:この疑うにも2つあって、1つ目は自分を疑うこと。
デザインもイラストも、仕事の場合はまず納期内で表層を作り終えることが目的になるので、作り終えたときはそれに満足しちゃうんです。
そうすると、果たしてそれが与件をしっかり全うしてるかという思考に辿り付きづらいんですよね。
なので僕はスケジュールに余裕がある場合は、提出前に日を置いて俯瞰した目線でチェックしてブラッシュアップするようにしてます。
急いで提出して「あぁー!あそこもっとこうしておけば良かったー!!」って思った経験ある人って少なくないんじゃないですかね。
すず
確かに・・身に覚えがあります・・。
トツカさん
ですよね(笑)
2つ目として、良い意味で相手を疑うことも大事です。
トツカさん:これは特にデザインの仕事で多いです。
「お客さんが出してきた原稿だから内容も伝わりやすいものだろう」という先入観ってありますよね?実はここが落とし穴なんです。
お客さんは自身のサービスや商品のことをよく解ってるので、解りづらい説明や図でも理解しちゃってるんですよね。
なので、そこについて「この伝え方でいいのか?」って疑問を持ってお客さんに質疑をすると、改善点が沢山見えてきたり、お客さんの規模や環境によってはターゲットすら勘違いしてる事に気付くこともあるんです。
すず
この『疑うこと』は、デザイナーやイラストレーター以外の業種にも言えることかもしれないですね!
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フリーランスで幅広く活躍するトツカケイスケさんにお話をお伺いしました。
デザイナーとは何か、フリーランスで活躍していくために大事なことは何か、このお話の中でたくさん学ぶことができました。
すず
今後も様々なことに取り組んでいきたいと意欲をお話されていました!
幅広い軸を持って活躍をされているトツカさん。今後の飛躍にも目が離せません!
すず
トツカさんのイラストを見たい方、お仕事を依頼したい方、情報を知りたい方はトツカさんのホームページをぜひチェックしてくださいね。
「フリーランス16年目のクリエイターが語る AI時代でも食べていける仕事術」(20年5月、デジタルハリウッド交友会)
「デザインはコミュニケーション イラストレーター/トツカケイスケさん 〜LOGO DAYS ロゴデザイナーインタビュー」(14年1月、logo stock)
web site :イラストレーター トツカケイスケ
Instagram:keisuke_totsuka
Twitter:@totsu_net