今回要約するのは「顧客起点マーケティング」です。
成果を出したいけどうまくいかない・・
マーケティングと言われても、何から始めて、どんなことをすればいいのか分からない・・
マリエ
そんな悩みを持つ方におすすめです!
この本では著者のマーケティング手法が徹底的に解説され、これを読んだら明日には試したい!と思えるような一冊です。
著者は、P&Gで16年、ロート製薬で8年、ロクシタンで3年マーケターを務め、スマートニュースを入社1年でアプリランク圏外から1位に持っていった西口 一希氏。
本物のマーケティングのプロです!
そんなマーケティングのプロの手法が分かる「顧客起点マーケティング」を要約・解説していきます。
このページの目次
そもそも顧客起点マーケティングとはなんでしょう?
本書では、「たった一人の顧客(N=1)を徹底的に理解することで、ビジネス成長へのアイデアが生まれる」としています。
そしてこの一人の顧客を徹底的に理解することをN1分析と呼び、本書では重要なポイントとして解説されています。
マリエ
一人の顧客だけを!?普通ならより多くの人のデータを集めますよね・・。
なぜ一人の顧客なのか?どんな考え方なのか?
私なりにまとめてみました!
本書はこんな人におすすめです。
具体的に書かれているので読みやすく、実践もしやすいですよ!
顧客起点マーケティングは「一人の顧客からアイデアを生み出し、事業を成長させる」ことを解説した本、というのはもうお話しましたね。
どのような手順で進めていけばいいのか、私なりに全体の流れをまとめてみました。
マリエ
細かい解説はこの後行うので、まずは全体の流れを知りましょう!
流れとしては以下の通りです。
つまり、顧客のセグメント同士でどんなギャップがあるのか?を調査し、そのギャップを解消するためのアイデアを生み出す、ということです。
ギャップを見つけること、そして独自性のあるアイデアを生み出すため、一人の顧客を深堀りする、ということがポイントですね。
顧客起点マーケティングの全体の流れを理解したところで、より詳細を解説していきます。
マリエ
重要なキーワードともに、具体的な進め方を解説していきますね。
まず自社の顧客の状態を把握するために、顧客ピラミッドを使用して顧客をセグメントごとに分類します。
顧客ピラミッドは「認知有無」「購入経験有無」「購入頻度」の質問で作成できるフレームワークで、シンプルで分かりやすい作りになっています。
引用:顧客起点マーケティング(西口 , 2019 , p.59)
この顧客ピラミッドを使うと、顧客を「ロイヤル顧客/一般顧客/離反顧客/認知・未購買顧客/未認知顧客」に分類することができます。
これによって、今自社の顧客はどんな状態なのか?それぞれどのくらいいるのか?が明確に分かるようになります。
マリエ
このピラミッド上で、顧客をどんどん上に上げていくための戦略を考える必要があります。
著者である西口さんがもっとも強調することで、本書のタイトルにも通ずる分析ですね。
10人に対して1回ずつインタビューをするのではなく、1人に対して10回インタビューをする、という手法です。
マリエ
ではまず分かりやすい事例でN1分析を解説します。
西口さんがロート製薬に勤めていたころ、当時売上20億円程度だった「肌ラボ」の売上をどう上げるかで悩んでいました。
幅広くユーザーに尋ねても「いい商品だが、これというものがない」という声が圧倒的で、中には「ベタつきが嫌」というネガティブな意見も多く出ました。
しかしそんな中、肌ラボをよく買ってくれる顧客の一人が、「ベタつきが最大の魅力。」と回答しました。
この顧客の回答からヒントを得て、「ベタつきが保湿の証拠」として商品を売り出したところ、消費者の見方が変わり、今では売上100億円を超える大ヒットになりました。
もし統計的なデータでしか判断していなかったら、「ベタつきが嫌」という声に対してベタつきを抑えた商品を販売し、既存顧客まで失っていたかもしれませんね。
先ほどの顧客ピラミット上の「ロイヤル顧客」と「一般顧客」の商品に対する認識のギャップを見つけ、そのギャップを埋めるための仮説を立てる。
マリエ
これこそがN1分析です。
これを各セグメント別に行うことで、それぞれのセグメントの顧客が自社ブランドをどう思っているのか、どんな購買行動を行っているかが分かります。
マリエ
具体的な質問は以下をイメージしてみてくださいね。
聞きたいこと:いつ、どのようなきっかけで商品を知ったのか、買ったのか、ロイヤル顧客化したのか。
例:認知、使用意向、購買意向、満足度、使用実態、競合、好きなところ、嫌いなところなど
先ほどの肌ラボの事例で言うと、ロイヤル顧客と一般顧客のギャップから見つけた、「ベタつきは保湿の証拠とPRして売り出す」というのがアイデアです。
マリエ
ですがアイデアって言われても、実際自分がやろうとすると難しいですよね・・。
西口さんは、本書のアイデアは「独自性」と「便益」の四象限で表すことができると言っています。
参考:顧客起点マーケティング(西口 , 2019 )
図で言うと右上、独自性と便益を兼ね備えたアイデアがマーケティング上最も重要のため、ここを目指していくことになります。
マリエ
肌ラボだと、独自性は「ベタつき」、便益は「保湿」です。
独自性と便益が兼ね備えられらたアイデアか?それを一つの判断軸にすると、考えやすくなりますね。
ちなみに、その他の部分は以下のように解説されています。
→コモディティ・・差別化されていない商品・サービスのこと。代替性がある。
左上:独自性はあるが、便益がない
→ギミック・・人目を引くための仕掛け。
アイデアで戦略を立て、実行した後は効果測定が必要です。
実際にどう効果が出たのか?販売促進で効果が出たのか?ブランド戦略で効果が出たのか?
マリエ
ここは可視化がしづらい部分ですよね。
この「どういった施策で効果が出たのか」を可視化するのが9セグマップになります。
9セグマップは、顧客ピラミッドにブランド選好の軸を加えた図です。
引用:顧客起点マーケティング(西口 , 2019 , p.127)
この図で横軸に顧客が動いたのであれば販売促進での効果、縦軸に効果が動いたのであればブランディングの効果として把握します。
マリエ
効果測定を正確にできるのは大事ですし、嬉しいですね!
9セグマップは、顧客ピラミッドを作る質問に1つだけ質問を加えることで作成することができます。
マリエ
4つだけでいいなんて、意外と簡単に作れそうです!
マリエ
それではここで、私なりに重要だと感じた点、そして注意点を解説していきます。
私は今まで、分析と言えば統計分析だと思っていました。
しかし、この本を読んで「独自性のあるアイデアはN1分析でないと出てこない」という事実を知りました。
統計分析は、いわば”最大公約数”を知るための分析であり、万人に共通したり、関連するような情報を探るための分析です。
マリエ
でも「万人に共通する」ということは、「独自性はない」ということでもあるんですよね。
今回の要約でも紹介した、西口さんの肌ラボの事例のように、「たった一人のロイヤル顧客を突き詰め、自社ブランドの価値を見つけ出す」ということは今まで自分になかった視点だと感じます。
ただ、N1分析は闇雲に誰かを抽出して調査すればいい訳ではありません。
大事なのは、その顧客がどのセグメントなのか?を明確にすることです。
ロイヤル顧客だと思ってインタビューしていたけど、実は一般顧客だった・・なんて、分析をする以前の話ですよね。
そのためにも、今回解説した顧客ピラミッドや9セグマップで明確に顧客をセグメントすることが非常に重要だと感じました。
マリエ
手っ取り早く調査してアイデアを見つけたい!と思うかもしれませんが、流れに沿って、まずは顧客の把握から始めていきましょう。
今回この顧客起点マーケティングを読んでみて、今まで自分が考えもしなかった手法を知ることができました。
実際に成功した人のやり方を学べるのはとても貴重ですよね。
マリエ
しかもそのやり方の詳細をこんなに解説してくれるなんて!と少し驚きもしました。
もし本書をもっと詳しく知りたい!という人はぜひ手にとってみてくださいね。